一般社団法人(非営利) 新興事業創出機構  JEBDA
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第1回「ただ今、社会変革中!」

4/11/2016

1 コメント

 
JEBDA代表鷹野と社会変革の最前線にいる起業家の方々との熱いトークをお届けします。

初回は、農業生産法人GRA取締役兼教育事業リーダー、NPO法人GRA理事の福島雅史さんの登場です。福島さんはNTTでキャリアを積んだ後、ビジネススクールのグロービスで人材育成に取り組み、現在は先進的な農業で知られるGRAで、ミガキイチゴを生産する新規就農者の開発、指導に当たっています。

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~技術者が人材育成のプロに~

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鷹野:福島さんとはこれまで何度もお会いしていて、なぜかとても気が合って「福ちゃん」と呼ばせてもらっています。まずは社会人としてどんな思いをもってスタートされたか教えてください。

福島:1985年に当時民営化直後のNTTに入社しました。情報通信業界が大きく変革する時で、業界をリードする社会への影響力が大きな企業で自分の力を試してみたかったんです。工学部出身で技術系エンジニアとして入社しましたが、最初はすごい下積みで、電話局の地下室で配線をしたり工事現場の対応など地道な仕事ばかりでした。でも大きな組織なので、2,3年ごとに異動するのは殆ど転職のような感じで、30歳のころに若手社員の教育部門の担当になりました。毎年1万人の新卒社員を迎える研修や、入社4~5年目の若手社員のキャリア開発研修なども行うようになって人材育成にやりがいを感じるようになりました。

鷹野:20年近くNTTには勤められたそうですが、その後の転機はどのように訪れたのですか?

福島:実業団のウインドサーフィンのクラブを立ち上げ猛烈にはまってました。時には「カゼで会社を休む(良い風でウインドサーフィンをするため)」こともありました(笑)。良い風良い波を求めて御前崎でのウインドサーフィン中に、かなり荒れた天候の中で波に巻かれ、ボードから離れてしまったんです。沖まで流されながら、あぁこれで終わりか、という思いが頭をよぎりました。幸い九死に一生を得て、それからは、一度死んだはずの人生、本当にやりたいことをやろうと考えるようになりました。その中で、自分にとってのキーワードが教育でした。
40歳のころグロービスと出会いました。社会に善をもたらす事業をリードする社長の堀義人さんの理念に心打たれ、実際にグロービスの教育に触れてその素晴らしさにほれ込んで、直談判で入社しました。44歳での転職でした。人材育成を本職にすることができ、目標に邁進する清々しさを感じました。やる気に満ちた受講生に囲まれ、ビジネスカンファレンスの企画、法人向けの人材開発コンサルティングもやりました。また自分でも経営を学びなおしたく、働きながらグロービスのMBAにチャレンジしました。

鷹野:そして東日本大震災が起こり、さらに転機がおとずれるのですね。

福島:はい。MBAの卒業最終発表が2日後という時に震災が起こり、発表を終えて初めて東北の惨状に驚愕して、仲間と一緒に東京から福島へ物資を送る活動を始めました。2011年5月にGRAの代表の岩佐の活動を知り、是非自分も一緒に活動したいという思いが募り、2011年6月にボランティアとして山元町に訪問した時が山元町との初めての出会いでした。同年秋にグロービス仙台校立ち上げプロジェクトに自ら名乗り出て参画して、生活拠点も東北に移しました。東北初のビジネススクールとして2012年4月から単科コースを開講、その受講生がGRAのミガキイチゴムスー(スパークリングワイン)の開発に携わっていました。自分もNPO法人GRAの教育事業の立ち上げに関わり、その後2014年4月にGRAに正式に移籍、翌年4月にGRAアグリプラットフォームの取締役に就任しました。
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~舞台は農業、夢は地域再生~

鷹野:ようやくGRAにたどり着きました(笑)。壊滅的な被害を受けた山元町での、ゼロからのスタートでしたね。

福島:2011年の法人立ち上げ時から関わっていますが、農業には必須の井戸を、5本目の試掘で掘り当てた時は本当にうれしかったですね。山元町はもともとイチゴの産地でしたが、震災で95%のイチゴハウスが倒壊してしまい人口流出も止まりません。GRAでは10年で100社10,000人の雇用を生み出すことを目標にしています。雇用の創出は地域産業に求められる最重要ポイントですね。働く場があれば人口が増え、コミュニティが形成されて、さらに人材を呼び込むことができてコミュニティ全体の質も上がり連帯も強まります。それがGRAがめざしている、仕事づくり、まちづくり、ひとづくりですね。

~ブランド化と、匠の技をITで形式知化~

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鷹野: GRAはこれまでの農業とは全く違うアプローチをしていますね。

福島:ブランド化とIT技術によるサイエンス農業で、地域産業のモデルとなるビジネスを確立して、山元町だけでなく、日本各地に展開したいと考えています。ミガキイチゴというブランドで販売していて、その最高級ランクは東京の伊勢丹では一粒1000円、いえ今年は1,200円の値段で売られています。ミガキイチゴ100%のムスーは今日本で一番売れているフルーツスパークリングワインです。ブランディング開発は、広告代理店出身のグロービスの仲間がプロボノで支えてくれました。宝石のようなイチゴをかたどったロゴや、美しいパッケージは商品価値を高める重要な要素ですね。
またミガキイチゴは独自の販路開拓をして、デパート、高級スーパー、Eコマース、直販など、ブランド力を活かして高価格で販売できるルートを確立しています。海外にも販路を広げていて、現在ミガキイチゴを香港向けに月1.2トン輸出しています。それでも香港市場での3%に過ぎず、主流は韓国・アメリカ産のイチゴです。彼らは国単位でブランド化しているんですね。我々も「ジャパンベリー」のミガキイチゴなどとして、日本全体で海外プロモーションをしていけたらいいと思います。

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~農業をビジネススクール風に再構築~

鷹野:イチゴは好きな果物ナンバーワンだと思いますが、栽培は難しいのではないですか?そもそも儲かるんですか(笑)?

福島:もともとイチゴはほかの農産物と比べて単価は高いのですが、収穫やパック詰めの手間がかかるので大規模経営がこれまで行われてきませんでした。そのため農家のバイイングパワーが乏しく生産者の収益が圧縮されていました。ブランド力のあるミガキイチゴとして出荷できる生産量が増えれば、生産者の収益率をもっと上げることができると考えています。
イチゴ栽培は実はけっこう難しくて、成長ステージにあわせた細かい管理が必要です。GRAでは栽培を細密にデータ管理できるコンピューターシステムを構築しています。その上で人の目で見た調整は必要ですが、これまで勘と経験でやってきたことのかなりの部分をコンピューターで自動管理できるようになっています。イチゴの生産サイクルは20か月。普通なら習得に10年かかる栽培技術をITで形式知化することで、就農の初期から高い品質のミガキイチゴを生産できるリーダーを育成しているのです。1年間の研修をしてもらい、2年目から栽培開始、随時サポートを提供し、3年目から生産されたミガキイチゴをGRAが買い取るシステムです。
おかげ様でミガキイチゴへの需要が高まって、供給が追いつかない状況です。フランチャイズでミガキイチゴの生産者の輪を拡げ、10,000人の雇用を達成したいですね。

鷹野:就農を考えている人には魅力的なプログラムですね。

福島:GRAの農業モデルでは、2,000平米を最小単位として、年間11トンの収穫、1,650万円の売り上げを標準としています。これは平均的なイチゴの2倍の売り上げにあたります。生産管理や防虫などの観点からイチゴはすべてハウス施設内でラックで栽培します。このハウスにかかる初期投資が2,000平米の規模で4,000万円かかり、これが新規就農には課題となりますが、8年で原価償却できるので9年目からの利益は大幅にアップします。15年間の投資収益比率でみると9%ほどで、かなり堅実といえます。また普通の起業とは違って、新規就農には国の補助金制度や、自治体の住宅補助や子育て支援などの後押しもあります。

~地方でワクワクする仕事~

鷹野:福島さんのこれからの夢は何ですか?

福島:私は岡山県の人口12,000人の地方都市出身で、地元には働く場がなかったから東京で就職しました。地方でワクワクする仕事がしたいし、真の意味で豊かな生活がしたいですね。持続可能な地域づくりのケースとなるような事例を山元町で作りたいです。

人口10,000人超の山元町に、GRAの見学のため年間4,000人の人々が訪れています。そのうちの数%でもミガキイチゴ生産の仲間になってくれたら、素晴らしいネットワークが広がると思います。
インタビュー後記:
福島さんは、穏やかなお人柄の中に、とても強い信念を持っている人だなぁといつも感じています。さすが技術系出身とあってテクノロジーや農業技術に詳しく、さらにそれをビジネスとして語って営業できるという、ベンチャーには欠かせない才能の持ち主。新規就農を目指す若者には、じっくりと耳を傾けて相談にのってくれる、頼れる兄貴みたいな存在なんですね。福島さんのもとで育った次世代のミガキイチゴ農家たちが、全国に広がって、地域が活性していくことに私もワクワクしています。
福ちゃん、インタビューご登場、ありがとうございました!

鷹野 秀征
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1 コメント
Steph Jones link
1/1/2021 01:15:59 am

Great blog post thanks for sharing.

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